4月のコラム 2019年4月
雑感<その2>
「歌う」ということは多くの利点をもった行為であります。肉体的・精神的に寄与すること大であります。肉体的には内臓の筋肉を活発にし、臓器を正常に保ち得ると言われています。また精神的には昨今心の問題が問われていますがストレス等の解消に役立ち音楽療法がその分野の研究者たちによって多くの臨床例を提供していることも頷けます。その他内気で孤独な性格を変えたり、人との和合の精神を育てたり例をあげれば「情操的」「教育的」にいくらでもあげられます。
いずれにしてもその成果を得る為には正しい方法による基礎的訓練が必要になってきます。この「歌う」ことの基礎的訓練として最も大切なのが「発声法」であります。自分の情感を自分の声に託すことができ美的領域にまで高める為の第一歩が「発声の研究」であります。
私たち人間には長い生の歴史や心の歴史がありますがそれは先駆者たちがその時代の条件や葛藤によって様々な文化を結実させてきました。文化とはその時代時代の心の結集、すなわち形式(様式)として昇華されたものであると考えたとき、音楽も同様であり決して例外ではありません。音楽の歴史を見渡すと確かに楽譜の中にはその時代の息吹が伺えますしそれはまさしく生の響きであり練り上げられた心の響きであると思います。