4月18日の参加者より
昨年夏にはドイツにて 故武満徹氏の意思を継いで完成されたオペラ、「マドルガータ」がケント・ナガノ氏の指揮により初演され、絶賛を博されたという野平先生はピアニストとしても超一流ですが、その演奏は音が美しく、曲の構成が透けて見えるようで作品の本質を見せて下さると同時に、魅力を際立たせる。しかし もう一つ、先生の指導者としての素晴らしさは、取り上げる材料はフランス歌曲であっても、幅広くピアノや他の楽器との演奏や作品の歴史にまで及ぶ話は興味深く、又そこで受講した方の演奏からリアルタイムで新しいアイデアが常に発生し、「こんな風にしたらどうでしょう?」とご自分でもその新しい発見を楽しみながら、演奏者のレベルに合った指摘があります。それは又、ご自身の演奏により深く納得させられるところです。歌曲アンサンブルは、その原語に精通している事が一つ大きな条件としてありますが、そのこともやんわり釘を刺していかれました。また今回、演奏の表現について「ヒューマン」という言葉を何回か使われましたが、人間味溢れる音色、それは現代音楽も手がけらる先生の今最も大事に思われている課題なのではないかと思いました。 高野 京子
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