3月15日の受講者より
3月の例会は「日本歌曲 演奏及び講演」と題して、コーヒーの芳ばしい香りのする音楽喫茶「アカシア」で開催されました。
日本歌曲の叙情的な部分ではなく、叙事的な部分に方向を持った、歌う中での語りを考察するものでした。
講師であるバリトンの渡邊一夫先生は、ご専門であるドイツリートの知識を交え、教育者としての豊かな経験を活かしお話し下さいました。今回のテーマである叙事詩が、感情を明示せず事実を述べ伝えるように、敢えて演奏に対する方法論は仰いませんでした。先生のお話や、詩の朗読、演奏を聴いて「演奏に於ける違和感のない歌と語りの融合について、参加者自身が感じとっていただければ」との事でした。
歌曲を演奏する場合、既に作曲者が詩の世界観や人生観を織り込んで作品化して下さっていますので、それを「如何に相応しい声で語り歌うか、相応しい音色を選ぶか、叙事詩の事実に暗示されている情緒を如何に聴く方に感じてもらえるように演奏するかが大切である。」と問いかけて頂いた気がしております。
(相馬宏美) |